はじめに
ラズベリーは、甘酸っぱく香り高い果実が魅力の果樹です。果実の美味しさだけでなく、収穫の楽しさやコンパクトな樹形から、家庭菜園でも人気の高い果樹となっています。今回は、その中でも特にトゲが少なく、初心者でも扱いやすいとされる「Canby(キャンビー)」という少し珍しい品種にスポットを当てて、ラズベリーの育て方を解説します。
Canbyは、赤ラズベリーの一種で、果実は大粒で甘みが強く、トゲが少ないという特長を持っています。栽培において特別な管理が必要なわけではなく、一般的なラズベリーの育て方と大きくは変わらないため、基本に忠実な管理を行えば、初心者でも立派な果実を収穫することができます。
ラズベリー(Canby)の特徴

Canbyはアメリカ原産の赤ラズベリーで、以下のような特徴があります:
- トゲが非常に少ない:作業がしやすく、お子様と一緒に育てるのにも向いています。
- 果実が大粒で香りが良い:酸味はやや控えめで、甘さが際立ちます。
- 耐寒性が高い:寒冷地でも比較的安定して育ちます。
- 1季成り:夏の初めに一度だけ実をつけるタイプです。
このように、扱いやすさと味のバランスの良さから、家庭栽培でも根強い人気がある品種です。
土づくりと植え付け時期
最適な植え付け時期
ラズベリーの植え付けは、落葉期である11月〜3月頃が理想です。根が休眠しているこの時期に植えることで、春からの生育にスムーズに入ることができます。
土壌の条件
ラズベリーは弱酸性〜中性(pH6.0〜6.5)の水はけのよい土を好みます。庭植えの場合は、以下の点に注意して用土を準備しましょう。
- 水はけが悪い場所には腐葉土やパーライトを混ぜて改良
- 元肥として堆肥や完熟鶏糞などの有機質肥料をあらかじめ混ぜ込む
- 根が浅いため、耕土層は30cm以上が理想
鉢植えの場合は、果樹用培養土や、赤玉土6:腐葉土3:パーライト1の配合でも良好に育ちます。鉢は8〜10号以上のサイズを選びましょう。
植え付けと管理の基本

植え付け手順
- 苗の確認:根が乾いていないか、病気の兆候がないか確認します。
- 定植穴の準備:鉢植え・地植えともに、根鉢の2倍の深さと幅の穴を掘ります。
- 植え付け:根鉢を崩しすぎずに浅めに植え、株元をやや高くして排水をよくします。
- 支柱の設置:ラズベリーはつる状に伸びるため、後々の管理を考えて支柱を設置します。
- 水やり:植え付け後はたっぷりと水を与え、その後は乾燥しすぎない程度に管理。
今回は子株を取りたかったので、横長のプランターに植えることにしました。
日当たりと水やり
日照
ラズベリーは日当たりのよい場所を好みます。特にCanbyは果実の糖度を高めるには直射日光が4〜5時間以上当たる場所が理想です。ただし、夏場の西日が強すぎる場所では葉焼けのリスクがあるため、半日陰になるような配置や遮光ネットの使用も検討してもよいでしょう。
水やり
ラズベリーは乾燥にやや弱い傾向がありますが、過湿にも注意が必要です。以下のような水やり管理を行いましょう:
- 鉢植え:表土が乾いたらたっぷり水やり。特に夏場は毎日チェックが必要。
- 地植え:自然降雨が少ないときに補水。特に果実の肥大期(5〜6月)には水切れに注意。
剪定と枝の管理
ラズベリーは剪定によって収穫量が大きく変わる果樹です。Canbyは「一季成り」の品種であり、前年に伸びた枝(結果母枝)に翌年実がつき、収穫後はその枝を切り戻すのが基本です。
前編では、剪定の基本方針を整理しておきます。
剪定の基本
- 秋〜冬(12月〜2月):前年に実がついた古い枝は根元からカット
- 春〜夏(4月〜6月):新梢の間引きや、倒れないように誘引する管理を行う
このような剪定と枝の更新を繰り返すことで、毎年の収穫が安定し、株も健康に保てます。
強風や台風に備えるその他の工夫
ベランダで果樹を育てる際、風対策はトロ舟以外にも様々なアプローチが考えられます。たとえば、支柱と麻ひもで幹を固定する方法は非常に有効です。鉢の中に支柱を打ち込み、果樹の幹と支柱を数か所で緩めに結ぶことで、風による揺れや転倒をある程度防ぐことができます。ここで重要なのは、「がっちり固定しすぎない」ことです。植物はある程度の揺れによって幹が強く育ちますので、完全に固めてしまうと逆に成長に悪影響を与える可能性があります。
また、植木鉢の重さを調整するのもおすすめです。軽量のプラ鉢はどうしても転倒しやすいため、風の強い地域では素焼きや陶器製の重めの鉢を選ぶと安定性が増します。さらに、鉢の表面に防草シート+砂利を敷くことで、乾燥防止とともに風への耐性を向上させることができます。
鉢の置き場所にも工夫を
ベランダの風の流れは、建物の向きや周辺環境によって大きく変わります。一般的には、角部屋のベランダや高層階は風が強くなる傾向があります。そのため、風の通り道になりやすいベランダの外縁部分ではなく、壁際やコーナーの風の当たりにくい場所を選んで鉢を配置するのがポイントです。特に、果樹のように背丈が高くなりやすい植物は、できるだけ「背を低く育てる」剪定や仕立ても意識すると、より安定して育てることができます。
強風によるストレスと果実への影響
果樹にとって風のストレスは、葉や枝が擦れて傷つくだけでなく、開花・結実時期の失敗にも繋がる恐れがあります。特にラズベリーやブルーベリーなどのベリー系果樹は、繊細な花や未熟果が風で落ちやすいため、遮風ネットやラティスで風を和らげる対策が効果的です。
また、植物が強風にあおられ続けると、水分の蒸散量が多くなりやすく、根から吸収する量が追いつかずに葉が萎れることがあります。これを防ぐために、日ごろから水やりのタイミングと量を管理し、風が強い日には早朝にたっぷりと水を与えることが推奨されます。
ベランダで果樹栽培を長く楽しむために

果樹のベランダ栽培は、手軽に家庭で季節の恵みを味わえる素晴らしい趣味です。しかし、屋外での栽培ゆえに自然の影響は避けられません。風への備えを怠ると、せっかく育てた果樹が一夜にして倒れてしまったり、収穫直前の果実が落ちてしまったりすることもあります。
だからこそ、日々の観察と備えが大切です。普段から天気予報をチェックし、強風注意報が出た際には鉢の移動や補強、葉や果実の保護など、事前のアクションをとれるようにしておくと、被害を最小限に抑えることができます。
最後に:風と上手につき合いながら育てる喜び
ベランダという限られたスペースの中でも、果樹は工夫次第でしっかりと育てられます。特に都市部に住んでいる方にとって、自分の手で果実を育て、収穫し、味わうという体験はかけがえのないものです。風という自然の脅威に備えながら、うまくつき合っていくことで、栽培の楽しみはさらに広がります。
YouTubeでも実際の様子を公開中!
ラズベリー(Canby)を購入した際の動画をYoutubeにアップしていますので是非一度見てみてください。
👉 動画はこちらからチェック!
https://www.youtube.com/watch?v=XEhrDBvbLaA